状態の非常に良い93年式のレンジ、車検にて入庫。早速、下回り拝見。
右フロントスタブアウターシール(スイベルハウジングシール)よりオイル漏れ。同時にハブガタも有った為、今回、おすすめして作業することになりました。
まずは該当部品をどんどん取り外します。ブレーキキャリパー、ハブ、ドライブシャフト(CVジョイント)、スイベルハウジング。そしてさらにスイベルハウジングを分解、清掃(これが一番時間がかかる・・・)し、スタブシール(スイベルピンハウジングシール)を取り付ける・・・ではありません。スタブシールを取り付ける前に・・・厳密にいうと「スタブシールを取り外した状態でハウジングをアクスルに取り付ける」です。何故かというと、ここが今回の「オイル漏れ」の原因と思われるからです。
実は最初に言った「ハブガタ」とは、実際は「スイベルピンガタ」なのです。潤滑されているとはいえ、長期間の使用とハンドルの旋回のくりかえしにより、スイベルピンベアリングやプレートに多少の摩耗&ガタができる。構造的にガタができると荷重移動などの時に、スイベルピンハウジングが車重によりスイベルピンベアリングハウジング(玉っころのほう)が上部に動き、センターが合わなくなりシール下部の隙間が大きくなる。まぁコンマ何ミリの世界でしょうけど・・・。 もちろん、シールの劣化も当然あります。ですからシールは交換、その上に、このピンのベアリングプレロード調整のひと手間を加えてやると、シールの持ちや、ハンドリングなどに影響してくるわけですよ。 じゃ、実際にハブガタとスイベルピンガタの見極めはどうやってやるの?、ピンのベアリング調整ってどうやるの?って質問はやめてくださいね。企業秘密です。(そんな大げさなもんじゃないけど・・・)
もちろん、今回の作業が必ずすべての車両の不具合にマッチすという訳ではありません。スイベルピンベアリングハウジングに傷があったり、ハウジングの形状の個体差やマッチングなどもあるでしょう。だけど、何回シールを交換してもオイル漏れ(グリス漏れ)が止まらないという方は、ここを疑ってみてはいかがでしょうか。 この不具合は「スタブアクスル」を使用しているランドローバー(レンジローバー ~95。ディスカバリー ~98。 ディフェンダー 90、110、130ALL)に起こり得るものです。
皆様のお車は大丈夫?