2016/06/19
by nozaki
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赤い粉

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ディフェンダーTdciエンジンのMT82ミッションで、下廻りを覗いたときにケースの下側がこんな風に赤い粉が付着していることがあります。
ミッションを降ろして(もう降りてますが)トランスファを切り離し、インターミディエイトハウジングを外すと・・・。

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アウトプットシャフトが出てきます。
このアウトプットシャフトを更に分解すると・・・

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赤い粉の製造現場が出てきます。

この赤い粉の正体は、摩耗した金属粉が錆びたものです。
先ほどあえてこの部品をアウトプットシャフトと言いましたが、このミッションの本来のアウトプットシャフトはトランスミッションハウジングの中にあります。そのハウジングから出ているものはアウトプットフランジ(ドライブフランジ)で、本来はプロペラシャフト(ドライブシャフト)に繋がっているべきもの。
もうわかった方もいらっしゃると思いますが、このミッションはディフェンダー専用に作られたものではないんですね。この当時のランドローバーがお世話になっていたメーカー、フォードのミッションなんです。調べて見るとマスタングやトランジット(あえてカタカナ表記をしてます)などに使われている、本来はFR車のミッションです。それを前後のアクスルの位置やトランスファを接続させるためにもう一つハウジングを作って、本来はドライブフランジから出力されるところを更に延長シャフトを使用しトランスファに接続させているシャフト。のフランジ側なんですね。LT77やR380ミッションですとメインケースからアウトプットシャフトが出てくるのでトランスファのインプットまで何も露出しないで動力伝達できます。しかしこのMT82は上記のような様々な理由から一度外に出したシャフトを継いでトランスファに接続していて、トランスファ側は問題ないんだけれどギアボックス側シャフトがオイルなどで潤滑される状態でない部分でスプライン接続されています。ですのでアクセルのオンオフで動力の伝達方向が変化するたびにスプラインに負荷がかかり金属摩耗を起こすという仕組みです。
これを解消するすべは、この部分を新品に交換して部品番号が変更されたグリスをタップリ塗布しカバーをきちんとつけて組み上げるか、社外品のルブリケーションシステムを導入するしかありません。

ZFのオートマチックトランスミッションのように、アウトプットシャフトの接続部を、何故エクステンションハウジングの中に仕舞えなかったのかが疑問です。

2016/05/27
by nozaki
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黒煙が出る

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この写真を見て、「黒煙が出る」となればどんな作業をしたか・・・、
知っている方はおおよその予測がつくと思います。

セカンドレンジ(LPレンジ)後期モデル、60DのV8エンジンです。
写真では4気筒のように見えますが、片バンクだけ映っているんですね。

アクセルをふかすと黒煙が出て、戻すと白煙。目で見るとそんな感じに見えます。
マフラーから出てくる排気の色の事です。
そしてエンジンオイルがかなり消費される。1000Kmで500mlぐらい。結構な量ですね。

まずはロッカーカバーを開けて見てバルブステムシールの状態、劣化やオイルスプリングの外れなどを点検する。かなり汚れて劣化しているように見えるけどおかしいところは特になし。ヘッドを外し本格的に点検。バルブのステム径、ガイドの状態、動きなどの点検も問題なし。シリンダヘッドにスがないかチェック、歪みも測定。すべてに問題が見当たらない。いよいよ腰下、ブロックを点検することに。シリンダのボアを測定すると5番シリンダが基準値よりも0.035ミリ、スラスト方向に摩耗している。他のシリンダ、3番6番に関しても基準値を若干超える値を測定することができる。
確かに基準値を大きく超えているシリンダは一つ、そして基準値を軽く超えているシリンダが3つあった。しかし、ランドローバーの、この伝統的でアバウトなV8.OHVエンジンで果してこの値が黒煙や白煙を発生する原因なのか・・・。非常に悩むところなので、オーナーにその旨を伝えると、考えられるものはすべてやってしまいましょうとのことだったので上記写真のような作業になりました。
ランドローバーのV8エンジンのシリンダブロックはライナー打ち替え式ではないため、一度オーバーサイズにボーリングしてスリーブを入れ上面を研磨、新しいシリンダを更に研磨して基準値を出しホーニングします。簡単に言いますが1/1000、1/100単位の切削、研磨の作業です。この作業は流石に自前ではできません。20年近いお付き合いのある内燃機屋さんにお願いします。いつもいい仕事をしてくれます。
そしてクランクシャフトの歪み修正、バランス再調整などもお願いし、クランクの親メタル子メタルの交換。このあたりは流石伝統のV8エンジン・・・結構アバウトなんです。もちろんピストンもピストンリング、オイルリングも交換します。ブロックもヘッドも面研、バルブはIN,EXとも交換、組み付け。簡単にポンポン書いてますが、とんでもない時間と労力、そして修理費用です。

正直なところ、セカンドレンジの40D、46Dの前期エンジン、58D、60Dの後期エンジンは、国内でも解体屋さんなどを探せば中古エンジンが割とすぐに出てくると思います。それを安く買ってきて腰上のオーバーホール(おもにガスケット交換)をして載せ替えた方が断然安いです。セカンドレンジは恐らくディスコ1の次に日本で販売台数が多かったモデルなので中古車や部品取り車が多いです。ですのでそういったタマを有効活用する手もありますが、今回のオーナーはそれをしませんでした。それは自分の車、そしてそれに装備されている物を簡単に「交換」で済ませたくないという強い気持ちがあったからだと思います。それを貫き通した気持ちに天晴れと言いたいです。

考え方は人それぞれです。

最低限で修理していく人、考えられるものすべて交換してベストの状態で乗りたい人、その交換の中でもまだ使えるものはできるだけ再使用し手を加え修理をメインとする人と新品やリビルト品に躊躇なく交換する方も居るでしょう。人それぞれ、ご自分に合った車との付き合いをすればいいと思います。自分の方向性と違うプランを勧められて嫌な気持ちになる必要はありません。提案はいくらでもしますので納得できるプランが見つかったらGOサインを出してください。

2016/05/05
by nozaki
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ホーンが鳴らない

サードレンジ(LM.04)で、ホーンが鳴らない。
その他エアバッグ警告灯点灯、メーター内のオレンジのエクスクラメーションマーク(びっくりマーク)点灯、オーディオ(ラジオ)が途中で電源が落ちる、などなど。かなりのトラブルを抱えている車両。

まずは軽くテスターで診断をしてみるも、エアバッグはKバスラインの不具合で通信できず、びっくりマーク点灯の方はブレーキスイッチ故障と表示。ホーンは本体に電源が来ているか点検、ボタンを押しても電源が来ない。アースは問題なさそう。

ここでそれぞれの配線図を見てなにか共通点はないか確認。
ひとつだけ電源供給元として共通しているものがあるけど、まさかコイツではないよなと思いながらも点検。

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ビンゴでした。

イグニッションスイッチ内でオグジュアリー電源が電圧降下してました。

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このイグニッションスイッチ。
結構いろんなトラブルを引き起こしてくれます。部品も何回か番号が変わってますので、メーカーでも何かの情報により改善している可能性があります。
今回のトラブルも、オグジュアリー電源が4.4Vしか出てなかったので、表面的な不具合だけでなく潜在的な不具合もいっぱい抱えてたと思います。

2016/04/17
by nozaki
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クラッチが切れない

ディフェンダー90Tdci、2010年モデルで、走行中変な音とともにクラッチが切れなくなったとの事。とはいえギアが入りっぱなしになり暴走したというわけではなく、クラッチを切ってギアを切り替えようとしたらギアが入らなくなったという症状。

クラッチを踏んでも踏みごたえ(踏みしろ)がおかしく、ペダルを底まで踏み切ることができない。しかし入庫したときは普通にクラッチは切れ、ギアも入る状態になっていた。が、やはり一番奥まで踏むと何か違和感があり、微かに変な音がしてギアが入りにくい。逆に底まで踏まないで少し浮かした状態でギアを入れるとすんなり入るし変な音もしない。

ちょっとよくわからない症状だけどミッションを降ろすことに。

そしてクラッチ板を外して見ると・・・。

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見事にダンパスプリングが外れていました。
これでユーザーさんが言っていた症状と原因が一致しました。
ダンパスプリングがプレッシャープレート側に外れいているので、プレッシャープレートダイヤフラムをレリーズベアリングが押そうとしてもスプリングが邪魔して押せず、クラッチが切れない。しかし何回も踏んでいたのでスプリングが少し戻ったか変形したのでちょっと押せるようになりクラッチは切れてギアも一応入るようになった。

そんなところでしょうか。

ダンパスプリングが外れきって、クラッチプレートとプレッシャープレートの間に完全に挟まっていたら、本当に走行不能でした。そこは微妙にラッキーだったかもしれませんね。

そして交換する部品は・・・。

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純正の新品となるわけですが、見た目何も変わっていません。
部品番号は2回ほど変わっているので、何か対策されて変更してあると信じて目を瞑って取り付け。もちろんレリーズベアリング(スレーブシリンダ一体)とパイロットベアリングも交換。フライホイールは全く損傷なかった為再使用。

この年式はもう少しデータが必要かもしれません。

2016/03/26
by nozaki
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ライトがぼんやり点く

ディフェンダー05モデルTd5エンジンで、ライトスイッチを1の位置、つまりスモール(ポジション球が点灯)にするとポジション球が点いた後、ぼんやりとヘッドライトのロービームバルブが点灯する。

ぼんやりということは本格的にピカーっと点灯するわけではなく、うっすらと、しかし確実に点灯していると確認できる程度に光るわけで、その後ライトスイッチを2の位置、つまりヘッドライトが本来光るべきスイッチ位置にすると本格的にしっかり光り、コンビネーションスイッチを操作するとハイとローはキチンと切り替わる。

大体ディフェンダーでこの症状になった時は、ヘッドライト配線のアースやライトスイッチの基盤の溶解などを疑うのだけれど今回はそれが原因ではなさそう。DIMDIPリレーも7極もあり通常のリレーではなさそうなので非常に怪しいのだが、スモール点灯時に減光して光らせるような機能はなさそう。
・・・と配線図を見てみるとそのリレーの上にレジスターがあることを発見。コイツが非常に怪しいのではとコネクターディテールを見てみるとまさかの写真なし。しかしロケーションだけは「Behind RH side repeater lamp」とあったので該当部分を探してみる。

ありました。

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コイツです。

03.04年あたりに正規に輸入されたディフェンダー110はこんな点灯の仕方はしないのでこの部品はついてないと思います。恐らく並行車で、ある特定の地域向けに出荷された車両にのみ装着されているのだと思いますが、配線図にはちゃんと記載されているので、逆にもしかしたら日本仕様のようについてない方が珍しいのか?真相はわかりませんが、うっすらと点灯する原理は理解できました。これは故障ではなく正常作動だったんですね。

ディフェンダーのライト点灯回路は搭載エンジンや年式によってさまざまで、いろんな不具合を見せてくれます。そんなに難しくしなくても、もっと簡単な回路はできなかったのか?。いつも疑問に思いますが、世界各国に輸出する車両なのでどこに出荷してもその国にあった点灯の仕方にすぐに変更できるように、実はその国にはいらないものまでついているのでしょうね。

正規輸入車であればそんなものはある程度PDIセンターで取り外しや変更されるのでしょうが、並行輸入車はそういうところが面白いのかもしれません。